研究活動 2024.04.23 2050 STANDARD HOUSE PROJECT

学びの回/開催 第2回目

本プロジェクトは、2050年に向けたスタンダード住宅づくりについて、「耐震・省エネ・健康・断熱」をキーワードに、20、30年後もそこで暮らす人々の健康や命を守れる可能性が高い性能を持ち得るように、ともに考え、学び、情報共有していくことを目的としています。第2回目は、近畿大学副学長 建築学部 岩前 篤教授の講演と株式会社LOCAS Brand Producer小松氏により、株式会社サンプロのHEAT20 G3モデルの事例発表が行われました。

近畿大学副学長 建築学部 岩前 篤教授による講演

採暖と暖房の違い~日本とカナダの違いから考える断熱性能~

岩前教授より、断熱・省エネ先進国であるカナダ、フランスの現状と、断熱に対する日本とカナダの考え方の違いをお話しいただきました。
日本人は普段、冬の間は「暖房」といいますが、実はあれは「暖房」ではなく「採暖」です。専門用語では「各室完結暖房」と言い、ストーブやコタツといった限られた場所で暖を採る暮らしのことを指します。対してカナダでは家全体を暖める『ルームヒーティング』が主流です。日本の住宅業界は、「暖房」と「採暖」の言葉の定義や暖める手段の違いについて理解が進んでいないと考えられます。

2050年スタンダード住宅を考える

日本人の暮らし方で素晴らしいところは数多くありますが、ただ少なくとも「採暖」という方法は、「健康によくない」ということがわかっています。この問題を解決するためには、「採暖」から「暖房」への転換が必要です。住宅の断熱性はもちろん、プランニングも変わります。特に重要なのは、「プランニングを変える」こと。2050年スタンダード住宅を考える際には、「家族がどうなるか」をベースにプランを考えるべきだと岩前教授は提言しています。

カーボンニュートラルの実現について

カナダでは2021年に気温が42℃を超え、バンクーバーBC州で約700人の方が命を落としています。これは地球温暖化や気候変動の影響です。2022年には「エアコンをつけなさい」というルールが作られ、迅速な対応が進められました。生命を守るために冷房が必要だという認識を定着させたのです。これが気候変動に対するカナダの対応です。しかし日本は、熱中症で亡くなったり、低温症で亡くなったりしても、あまり危機感を持っていません。しかし、「現実的なリスクを伴っているという認識」を持った瞬間に、私たちの行動が大きく変わることがあります。日本は、今まではその辺りのリテラシーは持っていなくても何の問題もありませんでしたが、これからはそうはいかなくなるでしょう。

泉北ホームの取り組み

多くの方が「寒い家には住みたくない」と考える一方で、ご自身が求めている暮らしが「採暖」なのか「暖房」なのか理解されていないことも多いため、泉北ホームでは「暖房」と「採暖」の違いをカタログやホームページで積極的に周知しています。さらに「低温は万病のもと」をコンセプトに断熱性能の向上に取り組み、命と健康を守る家づくりを推進しています。
断熱等級の数値を上げることが目的ではなく、お客様の望まれる暮らしを、お客様が無理なく手に入れることができるように、HEAT20 G1グレード以上を全商品で標準装備、ご要望に応じてHEAT20 G3グレードの断熱等級7までの商品をご提供しています。また、カーボンニュートラル実現のための国の政策「グリーン成長戦略」において、重要投資分野と位置付けられている住宅・建築物分野にて企業活動を行う泉北ホームは、省エネ性・耐久性の高い商品開発を推進することで、この活動に貢献しています。お客様に向けても地球温暖化について危機意識を持っていただくために、情報発信を行っています。

これからも、価格と性能のバランスを取りながら、2050年スタンダードをつくるための活動に寄与していけたらと考えております。

※記事は2024/4/23現在の情報です。ご確認のタイミングによっては情報が更新されている場合がございます。

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