構造・性能
2021.01.05
日本は「窓」後進国
窓がペアガラスだったら、めちゃくちゃいい窓よね?
サッシは何でできているのかニャ?
アルミでできた窓はやめた方が、絶対にいいニャよ。
近年は断熱に関して、窓の重要性がかなり浸透してきたと感じることがありますが、一方で「ペアガラスだから、めちゃくちゃいいものなのよ。」と聞くこともまだまだあります。
住宅業界ではない方や、家づくりを考えたことがない方であれば、それが一般的な認識なのかもしれません。
そこで今回は、日本の「窓」事情についてご紹介したいと思います。
真冬にズボンを履いていない人
こんな人がいたら何と言ってあげますか?
突然ですが、皆さまにご質問です。
例えば、下のイラストのような人が「手袋とマフラーのどっちが暖かいかな?」とあなたに聞いてきた場合、あなたは何とアドバイスしてあげますか?

家になると分からなくなる
「窓」の断熱性能が低いまま、断熱手法や換気システムをすすめられる
普通はズボンを履くように言ってあげるのではないですか?
しかし、「家」のことになると、適切なアドバイスがされてない場合があります。
「窓」の断熱性能が低いまま、断熱手法や換気システムにこだわっているのです。
まずはズボンを履いてから、手袋やマフラーをするようにアドバイスしてあげる方が適切です。

家の中で熱の出入りが一番多い個所
熱の大半が窓から出入りしてしまっている
熱の出入りが一番多い「窓(開口部)」は、夏は74%も熱が入り、冬には52%も熱が出て行ってしまいます。
なんと、熱の大半が窓からの出入りしてしまっているのです。
まずは窓(開口部)の性能を上げることが高断熱住宅への一番の近道なのです。

コールドドラフト現象
不快感だけでなく、身体的にも悪影響
断熱性能の低い窓を使っていしまっていることで、発生してしまう現象があります。
暖かい室内の空気が冷たい窓ガラスに触れて冷やされ、床面に下降する『コールドドラフト現象』現象です。
室内に温度差が生じるため不快感を覚えるだけでなく、脳溢血や冷え性が悪化するなど身体的にも悪影響を及ぼすといわれています。

窓の性能指標『U値』
数値が小さいほど断熱性能が高い
窓にもUA値(外皮熱還流率)と同じように、断熱性能を表す『U値(熱貫流率)』という数値があります。
U値は材料自体の熱の伝えやすさだけでなく、材料の厚さも加味して熱の伝わりやすさを表した値のこと。
要は、U値もUA値と同様に、数値が小さいほど断熱性能が高いことを表しています。

「窓」後進国、日本
先進国を中心に窓(U値)に最低基準を設けている
世界的にはサッシの樹脂化や木質化は当たり前になってきており、先進国を中心にして窓(U値)には最低基準が設けられていることもあります。
ちなみに、米国では全50州のうち24州でアルミサッシが禁止されているそうです。
しかし、「窓」後進国の日本には、もちろんありません。

樹脂サッシ普及率
「窓」後進国ニッポン
実は、日本で売られている大半の窓は、断熱性能の低いアルミ窓なのです。
あたかも隙間風が吹き込むかのようなアルミ窓が、日本ではまだまだ現役バリバリなのです。

アルミ窓と樹脂窓の比較
「樹脂」はアルミよりも約1400倍も熱を伝えにくい
「樹脂」はアルミよりも約1400倍も熱を伝えにくい素材です。
窓を樹脂窓にするなどして、窓の断熱性能を高めることで、コールドドラフト現象を抑え、部屋全体をしっかり保温してくれるのです。

家の断熱は絶対に『窓』から
窓を含めて考えることをおススメ
例えば、「〇〇社の〇〇断熱は何倍も〇〇しているからすごい!」みたいなことがあったとしても、窓が低性能であれば本末転倒ですよね?
まずは窓なのです。
窓にこだわり、窓の性能を高めるだけで、夏も冬も快適な室内温度に保ってくれるのです。
家づくりをされる際は、窓を含めて考えることを強くおススメします。

家の中で熱の出入りが一番多い個所は「窓」。
どれだけいい断熱材を使っていても、窓が低性能であれば本末転倒。
窓の断熱性能を高めることで、部屋全体をしっかり保温してくれる。