#構造・性能 | 2020.9.18
エアコンを畳数で選んでいませんか?
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リビングで使うエアコンを買おうと思っています。20畳のLDKだから23畳用を選べば十分だよね?
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実は「畳数表示」だけでは正確な判断ができないニャ!。家の断熱性能によってはオーバースペックのエアコンを選んでしまうことがあるニャ!。家の性能に合わせたエアコン選びがおすすめニャ!
エアコンを購入する際、まず「畳数表示」を目安に選んでいる方は少なくないのではないでしょうか。
しかし、その「畳数表示」は実は昔の無断熱住宅を基準にしており、現在の高断熱・高気密住宅には適さないことがあります。
本記事では、そうした「畳数表示」の背景や問題点を詳しく解説し、現代の住宅に適したエアコンを選ぶための概算式をご紹介します。

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目次
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エアコン選びに役立つ基準とは?
「畳数表示」の基準を知ろう
エアコンのカタログに記載のある「畳数」は、木造や鉄筋など建物の構造でも違いがあります。
「6~9畳対応」と記載がある場合、木造なら6畳・鉄筋コンクリートなら9畳という意味です。
最近では木造を基準にして「おもに6畳用」と表記されることもあります。
「畳数表示」の落とし穴
畳数表示は、無断熱住宅が基準
畳数表示は、無断熱住宅を基準にしている指標です。1964年に制定された基準で作られているため、現在の高断熱・高気密住宅には適していません。
そのため、畳数表示だけでエアコンを選ぶと、住宅によってはオーバースペックになり不要な初期費用がかかってしまうことがあります。
光熱費が高くなるリスクも
購入価格が高くなるだけではなく、光熱費も高くなるリスクもあるようです。
渋滞をのろのろと走ると燃費が落ちるように、ハイパワーのエアコンは、低負荷時に効率の落ち込みが大きくなり、光熱費が高くなるそうです。
最適なエアコンの性能ってどのくらい?
松尾和也氏の概算式で検証
エアコン選びを間違えないためには、家の断熱性能を考慮することが重要です。
そこで、松尾和也氏が考案した必要暖房能力の概算計算式を使って検証してみます。
松尾氏によると冷房は日射条件によって大きく変化するため単純計算がほぼ不可能ということですので、暖房に絞った検証となります。
エアコンの暖房能力の概算計算式は以下です。
必要暖房能力(W)=面積=Q値×(24℃-冬の外気最低温度)
これは、最も寒い夜明け前、一切の日射と内部発熱が無くても家中24℃に保てる暖房能力の計算式です。
以下の条件で、無断熱住宅・長期優良住宅・HEAT20 G2グレードの住宅を検証してみます。
- ・Q値=( UA 値+ 0.13)/0.37と仮定
- ・外気温は0℃で設定
(1)無断熱の家の場合
無断熱住宅(UA値=約3.66)では、20畳のリビングに8127Wの暖房能力が必要です。
この場合、20畳以上対応のエアコンが必要ですが、気密性の低く熱が外に逃げてしまうのでエアコンだけでは部屋が暖まりません。コタツやヒーターなど補助暖房の併用が求められることが多いです。
ちなみに、現存する家の約4割が無断熱住宅だそうです。
(2)長期優良住宅基準の場合
長期優良住宅(UA値=0.87)では、20畳リビングに必要な暖房能力が2144Wとなります。
この場合、6畳用のエアコンでも対応可能です。ただし、気密性が低い場合も考慮して14畳用を選択するのがおすすめです。
エアコンだけで対応が難しい場合は、足元の寒さをホットカーペットでカバーしているご家庭もあるそうです。
(3)HEAT20 G2グレードの場合
HEAT20 G2グレードの住宅(UA値=0.46)では、LDK20畳で必要な暖房能力が1265Wと大幅に下がります。
この場合、6畳用エアコン1台で十分対応可能です。
このレベルになると、30坪の家に必要な暖房能力は3795Wですので、計算上は12畳用エアコン(定格能力4200W)1台で家中まるごとを暖められることになります。
さいごに
あくまでご参考までに
ご紹介した計算式はあくまで暖房を想定した概算です。
エアコン性能の補正、壁面積、方位、内部発熱などの検討や、夏場の日射遮蔽も考慮していませんので、あくまでご参考にまでとしてください。
また、冷房時はギリギリの容量だとあまり冷房が効かないと感じるかもしれません。余裕を持った容量でエアコンを選択しておきましょう。
エアコン選びをきっかけに、住宅の性能についても一緒に考えてみませんか?
泉北ホームでは、年中快適で経済的な高断熱・高気密の家づくりをご提案しています。

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エアコンの畳数の目安は無断熱住宅が基準。
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新しい住宅にも関わらず、実際の畳数どおりか、一回り上の機種を選んでいる。
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家の性能に合わせたエアコン選びをしよう。