#構造・性能 | 2020.1.31
UA値合戦の幕開け?!
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断熱性能のいい家を建てたくて、色々情報収集してるんだけど、A社は断熱性能が良くて「UA値」が凄いんだ!
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その「UA値」はどんな図面で算出されているのかニャ?図面によってUA値は変わるのニャ。極端に窓が少なかったり小さな窓を採用している図面かもニャよ。
断熱性能を数値化したUA値というものがあります。
UA値を公表していない住宅会社は、そもそも断熱性能には力を入れていないといえますが、今は国の省エネ政策の後押しを受けたり、需要の高まりによって、公表している住宅会社が少しずつ増えてきています。
ただ、そのUA値をよくみせるために、あらゆる工夫がされていることをご存じでしたか?
そこで、今回はUA値の落とし穴についてご紹介したいと思います。

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目次
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UA値とは?
UA値が小さいほど省エネルギー性能が高い
「UA値って何?」という方にご説明しますね。
UA値(外皮平均熱貫流率)とは、住宅の内部から床、外壁、屋根(天井)や開口部などを通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値のことです。
ここだけ聞くとちょっと難しいですが、要するにUA値が小さいほど断熱性能が高い家といえます。
今や業界はUA値合戦
UA値のPR合戦が建築業界で勃発している
国の省エネルギー政策の後押しを受けて、一部のローコストメーカーや地元工務店を除いて、建築業界では高断熱化が推し進められています。
今や『長期優良住宅』は当たり前となり、各社がしのぎを削って高断熱な家をPRしています。
でも、〇〇工法や〇〇断熱といわれても、何となく良さそうには思えるけど、どこの会社がいいのか分かりませんよね?
それを客観的に知ることができる数値の一つが『UA値』です。
そのため、建築業界では、UA値のPR合戦が繰り広げられているのです。
UA値の落とし穴
自社モデルプランで算出されたUA値に気を付けて
UA値で比較することで、各社の断熱性能が客観的にわかるように思えます。
しかし、ここにも落とし穴があります。
たとえ同じ窓と断熱材を使っても、間取りによってUA値は変わるのです。
極端に窓を減らしたり、窓を小さくしたりした図面で算出されたいいUA値をPRしているケースがあるので、注意してください。
UA値の計算図面の違い
同じテストでないと平等に比較できない
「なぜ、極端な図面で算出されたUA値が問題なのか?」の例え話をしてみますね。
例えば、Aさんは数学テストを受けて「100点」でした。
一方、Bさんは「90点」でした。
一見すると、Aさんの方が数学が得意なように思いますよね?
しかし、実際は受けたテストが違ったのです。
Aさんが受けたテストは自分で作ったテスト、Bさんが受けたテストは全国模試でした。
Aさんが全国模試を受ければ、何点になるのかが分からないと、Bさんと平等に比較できませんよね?
それと同じことがUA値にもいえます。
窓が極端に小さく、数も少ない図面
壁の面積を大きくすればUA値が高くなる
家でもっとも熱の出入りが多いのは「窓」であることは周知の事実だと思います。
その窓を極端に小さくしたり、数を減らして、壁の面積を大きくした図面で計算すれば、UA値が向上することは、そのことからお分かりいただけると思います。
UA値にはさらに落とし穴がある
全体的なバランスが整って゛本当の意味での住み心地“が実現する
ただ、UA値にはさらに落とし穴があります。
前述の通り、窓を小さくしたり減らしたりすれば、UA値は簡単に良くなるのですが、UA値ばかりを追いかけて、床、外壁、屋根(天井)が疎かになって、そこからの冷気が侵入しやすくなるのであれば、快適とはいえません。
もちろん、窓やUA値は非常に重要です。
ただ、その他も大事なのです。
全体的なバランスが整って゛本当の意味での住み心地“が実現します。
もちろん、ご予算もありますし、標準の設備・仕様など、その他の要素を考慮した上で、家づくりにお役立てください!

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極端に窓を減らしたり、窓を小さくしたりした図面で算出されたいいUA値をPRしているケースがある。
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家でもっとも熱の出入りが多いのは「窓」であることは周知の事実。
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全体的なバランスが整って゛本当の意味での住み心地“が実現する。