ぼくらの家ラボ

構造・性能

2020.02.08

無断熱住宅が許される国、日本

2020年に省エネルギー基準が義務化されるって聞いたんだけど、日本の断熱って法律ではどうなっているの?

ニャンと、一般的な住宅には、気密・断熱に関して義務化する法律がないのニャ…。
無断熱の家も建てようと思えば建てられるのが現実なのニャ。

現在の日本の法律には、一般的な住宅に対しては、断熱を義務化する法律がないことを、皆さまはご存じでしょうか?
極端な話ですが、無断熱の家でも建てることができてしまうのです。
そこで今回は、世界から遅れる日本の家の断熱基準について、ご紹介したいと思います。

日本の建築基準法は最低の基準

断熱に関してはその最低の基準すらない

そもそも、日本の建築基準法は同法第一条に記載がある通り「最低の基準」を定めているにすぎない、というのは有名な話だと思います。
ただ、相次ぐ大震災によって、耐震基準の下限については何度か見直されています。
しかし、一般的な家の断熱に関しては、その最低基準すらないのが日本の現状なのです。

他の法律ではどうか?

一般的な住宅は、無断熱の家でも建てられる

ただ、建築基準法には最低の基準がありませんが、建築物省エネ法という法律にはあります。
大規模以上の建物になると「適合義務」があるのですが、ここでいう小規模建物、つまり一般的な住宅については努力義務にとどまっています。
要するに、できれば頑張って欲しいなというレベルのものです。

つまり、一般的な家には適合義務がなく、極端な話、無断熱の家でも建てられてしまうのです。

目安の基準はある

省エネ等級4が義務化される動きがあった

目安ともいえる基準は住宅性能表示制度にあります。
その基準の最高等級は「省エネ等級4(長期優良住宅の断熱基準)」となります。
実は、これを一般的な家にも、2020年に国が適合義務化する動きがありました。
つまり、最低でも省エネ等級4を満たさないと建てられないというものです。

適合義務化される予定だったが

なんと説明義務化へ

最低基準として省エネ等級4が小規模建物にも適用される【予定】でした。
しかし、結果として「説明義務化」へとかなり規制緩和したものに・・・。
これは、「注文住宅などの設計請負契約時に、お施主様に対して、省エネ性能の説明を義務付ける」というものです。
ほとんど骨抜きな法律へとなってしまのです。

省エネ等級4という基準自体は20年以上も前のものです。
今は、国が定めた「ZEH」や、さらに有識者が定めた「HEAT20」という基準がある中で、そこまで要求が高いものではありません。

世界から遅れる国、日本

住宅先進国は窓の性能にも基準がある

規制緩和されてしまった経緯には、様々な理由があるのですが、「20年以上も前の基準ですら満たさなくてよい」というのは、断熱を研究している教授や有識者にとって、非常に問題視されるものです。

すでに、断熱に対しての考えが進んでいる欧州は最低室温規定を設けている国があります。
もっというと、窓(U値)にすら最低基準がある国もあるのです。

世界から遅れる日本には、もちろんありません。
日本では、U値6.5程度のアルミ窓がまだまだ現役なのです。


そんな中で、驚きのニュースが

国が「省エネ住宅」と「健康」の関係を認めた

そんな中、‟「省エネ住宅」と「健康」の関係を国が認めた”というニュースが飛び込んできました。
というのも、ずっと教授や有識者が低温の危険性を訴えていたのですが、国がそれを認めることはありませんでした。

しかし、最近になって一般社団法人日本サステナブル建築協会が作成した「省エネ住宅」と「健康」の関係がPRされているリーフレットに、協力として厚生労働省のロゴが掲載されたのです。

建築業界全体の底上げが必要

断熱性能についても、積極的な検討を

『断熱性能が高く、暖かい「省エネ」住宅は、住まい手の健康づくりにつながります。』とリーフレットには記述があります。
高断熱住宅がもっと普及し、建築業界全体が底上げされることで、どの住宅メーカーでご建築されても、冬暖かく、夏涼しい家を建てられるようになります。
家づくりの際は、断熱性能についても、ぜひ積極的にご検討されてください。

  • 日本の一般的な住宅は、無断熱の家でも建てられる。

  • 予定されていた適合義務も説明義務化へと規制緩和された。

  • やっと''省エネ住宅''と''健康''の関係を国が認めた。