お金・ローン
2020.02.29
「卒FIT」ってどういう意味?
テレビでニュースを見ていたら「卒FIT」って言葉が出てきたんだけど、卒業シーズンだから?
「FIT(フィット)」とは再生可能エネルギーの固定価格買取制度のことニャ。
2019年11月以降からFITを卒業するご家庭がでてきているニャよ。
卒FIT後の選択肢として、蓄電池が注目されているニャ。
皆さまは「FIT」という言葉をご存じですか?
今回は車のことではありませんよ。
太陽光発電など創エネに興味がある方は、一度は耳にするはずです。
ニュースで「卒FIT」とよく聞きますので、家づくりを考えたことがなくても、ご存じの方も多いのかもしれません。
そこで今回は、「FIT」そして「卒FIT」について、ご紹介したいと思います。
そもそもFITとは?
10年間は電力を買い取ってもらえる助成制度
FITとは、太陽光発電を普及させるために制定された制度で、10年間は買取価格が固定で保証される制度のことです。
ちなみに、FITは、Feed-in Tariffの略語です。
Feed-in は「入れる、供給する」、Tariffには「関税、電気などの公共料金の請求方式」などの意味があるそうです。
売電価格は諸外国と比較しても高値に設定されていました。
こうした背景もあって太陽光発電は、急速に普及していったのです。
売電単価が高値だった理由
電気料金を支払うみんなで支えられている
なぜ電気事業者が高値で電気を買い取ってくれるのかというと、「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」という名目で、電気事業者が買取制度で電気を買い取るための費用を、各家庭から一律で徴収されているからです。
再エネ賦課金は、太陽光発電を設置した人の利益に充てられます。
不公平な感じもしますが、太陽光発電を設置していないご家庭は損をしているといえますね。
ちなみに再エネ賦課金は、年々負担増の傾向で、標準的なご家庭で年1万円ほど負担しているそうです。
ご存じなかった方は電気料金の請求書をご覧くださいませ。
では「卒FIT」とは?
「余った電力をどうすればいいのか?」問題
卒FITとは、読んで字のごとく、FITの制度から卒業すること。
制度が開始したのは2009年ですが、10年後の2019年11月より、固定価格での買取期間の保証が終了するご家庭が毎年でてきています。
卒FIT後は「保証期間終了後は余った電力をどうすればいいのか?」という問題に直面するのです。
卒FITの後
大きく分けて2つの選択肢
卒FIT後の選択肢は大きく分けて2つです。
今まで通り、小売電気事業者などと個別に契約して、余剰電力を買い取ってもらう「相対・自由契約」か、電気自動車や蓄電池・エコキュートなどと組み合わせて「自家消費」するか、どちらかを選択することになります。
相対・自由契約の道
固定価格だったときに比べて、非常に割安感がある
まず、「相対・自由契約」をご紹介いたしますね。
買取期間終了後の売電については自由取引に移行することになります。
これまで通りの電力会社と再契約をしても良いし、今までとは違う電力会社に売電することも可能です。
また、買取価格や付帯サービスは、各社それぞれで異なります。
ただ、固定価格だったときに比べて、大手電力会社で8円/kWh前後の買取価格と、非常に割安感がある印象です。
自家消費の道
蓄電機器が必要になる
次に「自家消費」ですが、昼間に太陽光パネルで発電して、電気製品などの電力に使用しつつ、余った電力を蓄電機器に貯めることで、夜間に使用することができます。
割安な夜間電力で蓄電池を充電、朝と夕方にその電気を使用し、最も電気代が高い昼間は太陽光発電&自家消費、さらに余った電気を売電することで、電力会社から高い電気代を買わずにすみ、電気代も下がります。
ただ、それをするには蓄電池が必要となります。
蓄電池導入ネック
高額な初期投資
蓄電池の導入に関して一番のネックは、一般的には高額な初期投資です。
蓄電池の蓄電容量(kwh)にもよりますが、130万円~200万円程度かかるといわれています。
広告などで100万円以下と表示されている蓄電池でも、工事費が含まれているかどうか確認してください。
ただ、蓄電池の市場自体は年々拡大傾向にあります。
特に、卒FITの2019年問題の直面もあって、家庭用蓄電池へのニーズが高まりました。
電気代は年々増加傾向
自分達で使った方が経済メリットが大きい
記事の冒頭の方で、「再エネ賦課金が負担増の傾向にある」とご紹介しましたが、電気を作るための燃料の値上げや、原子力発電所の停止の影響を受けて、実は電気代単価自体も年々増えています。
社会情勢に左右されますが、「電気料金が安くなる」という話は、あまり聞かないように思います。
また、高い電気を買うよりは、できるだけ自分達で使った方が経済メリットが大きく、スマートに電気を使うことができます。
蓄電池が注目されている
災害対策としての役割
近年は別の面でも、蓄電池が注目されることになりました。
相次ぐ自然災害によって、停電に備える必要性を、多くの人が目の当たりにしたことです。
2018年 台風21号では最大96万7千戸、
2019年 台風15号では最大93万4千戸、
2019年 台風19号では最大53万戸が停電被害に合いました。
対岸の火事と捉えていたことが自分事になり、その重要性を多くの人が認識したことが大きいように思います。
災害対策としても、蓄電池が注目されているのです。
日常時は月々の電気代をお得に、停電時には家族を守る
蓄電池と太陽光発電で「家庭採電」はじめませんか?
暖かいご飯もミルクも作れなくて、電気を求めて生活したあの日。
電気の大切さを、あの時、身に染みて体験した方も多くいらっしゃると思います。
日常時は月々の電気代をお得に、停電時には家族を守る。
この機会に、蓄電池と太陽光発電で「家庭採電」はじめませんか?
卒FITとは、10年の固定価格の買取期間から卒業すること。
卒FIT後は「相対・自由契約」か「自家消費」のどちらかを選択することになる。
「自家消費」を選択した場合、蓄電池が災害対策としても注目されている。