ぼくらの家ラボ

家づくり

2022.10.28

太陽光発電はつけないと''大損''する

太陽光発電で発電した電気を電力会社に売ることができるけど、その売電価格が下がってきているから、太陽光発電を設置しても損をするって聞いたけど本当?

確かに、売電価格は下がっているニャ。しかし、高かった時代に比べて初期投資自体がかなり下がってきているので、お得になるはずニャ。
むしろ、設置しない方が損をしていると考えるニャ。

太陽光発電は、FIT制度(電気の固定価格買い取り制度)の導入などで一時期注目を集めました。昨今のエネルギー価格の高騰によって、再び太陽光発電が注目されはじめています。

ただ、「太陽光発電を載せても元がとれないので、損をする」といった話を時々耳にします。そこで、今回は太陽光発電は損をする損をしない論争について、ご紹介いたします。

FIT制度とは?

太陽光発電を載せると損をするという話がある

FIT制度とは、再生可能エネルギーの『固定価格買取制度』のことです。再生可能エネルギーによって発電された電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを国が保証しています。

もともと再生可能エネルギーの普及を目的としてFIT制度(固定価格買取価格制度)は始まったのですが、国民の税金負担軽減や太陽光発電システム自体の価格が安くなったなどの理由で、売電価格が年々低下しています。

そのため、「つくった電気を売ってもお金にならず、初期投資を回収できない。」と認識され、太陽光発電を載せると損をするという話になったのだと思います。

初期投資額が安くなっている

太陽光発電を搭載した方がおトク

売電価格価格だけではなく、太陽光発電システム自体の価格も徐々に下がっており、そもそもの初期投資額が昔に比べてかなり安くなっています。また太陽光発電自体の性能も上がって発電量も増加しています。

異常に高い値段で取り付けた場合は、投資回収年数がかかるかもしれません。しかし、10年前と比べて設置費用は半額となっています。計算するとほとんどのケースで、太陽光パネルを設置した方が、お得になるはずです。

ネット上には様々な計算式がありますので、実際に手を動かしてご確認ください。

経済的メリットを高めるには?

自家消費率をどれだけ高められるかが重要

例えば、売っても17 円/kWhの価値のとき、電気代として37円/kWhが必要な場合は、高い電気を買うよりも、つくった電気を自家消費した方が、経済的なメリットが大きいですよね?

つまり、太陽光発電の余剰電力を売ることより、自家消費率をどれだけ高められるかが重要です。

特に固定買取期間が終了した卒FIT後は、昼間の余剰電力をいかに自家消費をするかによって経済的メリットに違いが出てきます。

太陽光パネルの故障などが心配…

保証期間内に初期投資を回収できればいい

太陽光パネルの寿命はおよそ30年程度と言われています。機械のため、故障リスクや性能低下が考えられますが、ほとんどの太陽光パネルは、システム保証で10〜15年、出力保証で15〜25年間は無料で保証が付与されています。

寿命のうち半分の期間は、パネルのメーカー保証対象になります。この保証期間内に初期投資額を回収できるのであれば、損をするというケースはほぼないはずです。

住宅街は発電量が落ちる?

よっぽどの都会でなければメリットがある

ひと昔前は電柱の影がかかるだけで一気に発電量が落ちるといったケースもあったようですが、最近の太陽光パネルではそのようなことはなくなりました。

ただ、大都会の摩天楼で、極端に屋根が小さく、まったく日の当たらないくらいのところで設置した場合は、設置するメリットはないでしょう。

設置費用の捻出が難しい…

「リース」という仕組み

建物に予算を割いたため、初期投資が高くて手が届かないという方もいらっしゃると思います。その場合は「リース」という仕組みを利用すれば解決できます。

もちろん、1番おトクになるのは購入することですが、どうしても予算の捻出が難しい場合は、リースを検討してもいいと思います。「載せない」という選択肢が一番損をするのです。

屋根が重くなるから耐震性が低下する?

搭載量を含めて精密な構造計算しておく

自宅の屋根に太陽光発電を設置した場合、屋根に掛かる太陽光パネル1枚の重さは各メーカーによって多少の違いはありますが約15~20kgです。仮に20枚設置した場合、屋根にかかる太陽光パネルの総重量は約300~400kgになります。

屋根が重くなるほど、実質的に耐震性は弱くなります。安全性を担保するため載せた状態で許容応力度計算などの精密な計算をしておいた方がいいでしょう。

特に、家を建てた後で太陽光発電を載せる場合は、構造に問題がないか確認が必要です。

電気料金の先行きは暗い!

高い電気を買わない工夫が必要

普段私たちが支払っている電気料金には「燃料費調整額」が含まれています。電気をつくる火力発電のための燃料(原油、液化天然ガス、石炭)の価格変動に応じて毎月の電気料金を調整し、価格変動を電気代に反映させるための制度です。飛行機でいう燃料サーチャージみたいなものです。

ガソリン価格が上がっている実感のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?それと同じく燃料となる原油や天然ガスの価格が上がっており、電気料金も上昇傾向にあります。

これまでは「経済的に余裕のあるご家庭は、太陽光パネルを搭載するといい」という認識だったかもしれませんが、今はむしろ「経済的に余裕のないご家庭ほど、太陽光パネルを搭載しておくべき」という状況です。インフレの被害を免れるための手段であり、「つけているとトクをする」ではなく「つけていないと大損をする」のが太陽光パネルだと言えます。

より経済的メリットを享受するには?

初期投資を少しでも安く抑えること

「太陽光発電を搭載しないと損をする」ことはご理解いただけたと思います。経済的メリットを大きくするのであれば、初期投資を少しでも安く抑えること。

もちろん販売する住宅会社によって費用が異なりますので、比較検討されてみてはいかがでしょうか。初期投資を確実に回収できるかどうか、保証内容も重要です。建物自体の建築費用と太陽光発電の搭載費用など、総合的に考えてご検討ください。

  • 売電価格だけではなく、太陽光発電システム自体の価格が下がっている。

  • 電気料金が上昇傾向にある。

  • 経済的メリットを大きくするのであれば、初期投資を少しでも安く抑える。