構造・性能
2023.03.10
ベタ基礎・布基礎のメリットとデメリット
家づくりは間取りやデザインにはこだわりたいけど、基礎のことはわからないから何でもいいかな。
基礎は家の土台になる大事な部分だから、知っておいた方が良いニャ!家の基礎には「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類があるニャ。
家の基礎は、大きく「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類に分けられます。何が違うのでしょう? どれが安心・お得なのでしょうか?それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
ベタ基礎とは?
特徴とメリット・デメリット
立ち上がっている部分と床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化し、大きな「面」で家の重みを支えるのが『ベタ基礎』です。面で支えたほうが荷重を分散できるので、耐震性が高いのが大きな特徴です。
■ベタ基礎のメリット
①耐震性に優れている
②地面の湿気が上がりにくいので、床下の結露やカビ・ダニを防ぐことができる
③シロアリの侵入を防ぐことができる
■ベタ基礎のデメリット
布基礎に比べて、コンクリートと鉄筋の使用量が多くなるので、その分のコストがかかります。
構造のイメージは下記の通りです。
布基礎とは?
特徴とメリット・デメリット
床下全体ではなく、立ち上がりの「線」で家の重みを支える構造が『布基礎』です。断面図は逆T字が並んだような形をしていて、鉄筋が入っているのはこの部分のみです。コンクリートの厚さは、ベタ基礎が15cmほどなのに対して、布基礎は5~6cmです。
■布基礎のメリット
床部分に鉄筋を使わずコンクリートも薄いので、ベタ基礎よりもコストを抑えることができます。
■布基礎のデメリット
①ベタ基礎と比べて耐震性がやや劣る
②床下に地面の湿気があがりやすい
③施工の精度が低いとシロアリ被害を受ける可能性が高い
ただし日本に多いヤマトシロアリは乾燥に弱いため、地面とコンクリートの間に防湿シートを敷くことで床下の湿気とシロアリによる被害のリスクを同時に軽減することができます。
構造のイメージは下記の通りです。
ベタ基礎と布基礎どっちがいいの?
どのような地盤にも対応できる「ベタ基礎」が安心
基本的に、基礎の種類は地盤の強さや建物重量などを考慮して決めるので、どちらが良いということはありません。例えば、地盤が強い場所であればコストの高いベタ基礎でなくても問題ありません。
ただ、コストを抑えるために布基礎を採用している会社もあるので、どのような理由で決めているか確認しましょう。標準仕様で基礎の種類があらかじめ決められている場合は、どのような地盤にも対応できる「ベタ基礎」が安心です。
ただし、「布基礎」が選ばれやすい場所も!
【寒冷地】は、布基礎が選ばれやすい
冬になると気温が頻繁に0度を下回るような寒冷地では、気温の低下によって地面が一定の深さまで凍結してしまうことがあります。地面が凍結すると膨張して基礎を押し上げてしまうため、通常より深い位置に基礎を設置する「凍結深度」というものが行政により定められています。
布基礎と比べてベタ基礎は、土を掘る面積が広いぶん残土処理の費用がかさんでしまうことから、寒冷地ではコストを抑えるために布基礎が選ばれやすくなっています。
とはいえ、地中梁のあるベタ基礎の場合は、コストを抑えた対応がしやすいです。
近畿地方では、雪の積もりやすい京都や滋賀の日本海側、標高の高い地域で建築する際には留意しておきましょう。
基礎の中の鉄筋配置「配筋」について
安全性の計算をせず、シングル配筋を採用していることも
「配筋」と呼ばれる基礎の中の鉄骨の配置には「シングル配筋」と「ダブル配筋」があります。本来、鉄筋コンクリートの基礎ならダブル配筋であるべきですが、適切な構造計算ができていればシングル配筋でも問題はありません。
問題なのは、シングル配筋を採用している会社のなかには、基礎の構造計算をせず安全性を考えられてない会社や、構造計算の方法を正確に理解していない会社があることです。
「ベタ基礎」ならどんな地盤でもOK
「ベタ基礎」なら「ダブル配筋」が安心!
「布基礎」や「シングル配筋」を選ぶなら、理由を要チェック!