構造・性能
2022.06.27
耐震等級って何?
どのハウスメーカーも地震に対する対策をしているみたいだけど、
素人じゃ比較して見ても分からないなぁ。
客観的に地震に対する強さを表す耐震等級という指標があるニャ。
数字が高いほど地震に強い家と言えるニャ。
現在においては、耐震等級3が最高等級となっているニャ。
地震。
日本に住む限りは生活の身近にある自然災害です。
マイホームを検討する際は、「どのくらい地震に強いのか?」構造や性能が気になる方も多いのではないでしょうか?
ただ、どこのハウスメーカー・工務店で直接聞いても、「弊社は構造にはこだわっている」という回答が返ってくるはずです。
そこで今回は、地震に対する客観的な指標をご紹介したいと思います。
耐震等級とは?
耐震性能を示す指標の1つ
耐震等級とは、建物の地震への強さ、耐震性能を示す指標の1つです。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」およびそれに基づいた「住宅性能表示制度」に沿って制定されました。
現在においてですが、耐震等級1から等級3までの3段階で表され、客観的な耐震性の指標として広く使用されています。
等級の数字が上がるほど強くなるのは、今後さらに上の等級を設定できるようにしているためです。
耐震等級で違う強さ
耐震等級1は建築基準法上通りの性能
耐震等級1は建築基準法で定められた最低限必要な耐震性能と同等で、数百年に一度発生する地震でも倒壊しない程度の耐震性を持ちます。
耐震等級2は学校や病院などの耐震基準(建築基準法の1.25倍)と同等。
耐震等級3は消防署や警察署など防災の拠点となる建物の耐震基準(建築基準法の1.5倍)となっています。
建築基準法上通りなら大丈夫?
命は助かるが、建物という財産は守れない
建築基準法上通りの耐震等級1でも、数百年に一度発生する地震で倒壊しないなら大丈夫じゃないかと思う方もいるでしょう。
ただ、命は助かるかもしれませんが、建物という財産は守れない可能性があります。
というのも、耐震等級には、「損傷防止」と「倒壊防止」という考え方があります。
まず、「倒壊防止」は、極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(東京を想定した場合、気象庁の震度階で震度6強から震度7強程度)に対して倒壊、崩壊等しない程度。
そして、「損傷防止」は、稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力(東京を想定した場合、気象庁の震度階で震度5強程度)に対して損傷をしない程度。
簡単に言うと、耐震等級1は震度5強の地震が来ても住み続けることはできます。
しかし、震度6強から震度7強程度の地震には一度だけ耐えればよく、その後は考えられていません。
耐震等級1は2度目の地震に耐えられない?
新耐震基準でも倒壊・崩壊した
耐震等級1は2度目の地震に耐えられないかもしれない…。
それは、実際に震度7の地震が同一地域で連続して発生した「熊本地震」により明らかとなりました。
日本建築学会の益城町における悉皆(しっかい)調査の結果、新耐震基準以前の基準(旧耐震基準)で建てられた住宅の被害率が顕著に大きかったのですが、新耐震基準の耐震等級1でも倒壊・崩壊がみられました。
また、耐震等級2の住宅ですら全壊と半壊が確認されました。
耐震等級1の問題点
ノーチェックで建てられる
耐震等級1の問題点は、その耐震基準だけではなく、四号特例という制度と絡んできます。
耐震等級2や耐震等級3であれば、第三者によるお墨付きが必要です。
しかし、一般的な木造2階建て以下の建物は「四号建築物」とされ、許容力度計算と呼ばれる精密な構造計算は不要になり、仕様規定による簡略的な計算で済むようになります。
そして、何よりも四号建築物は確認申請時に提出義務がありません。
ノーチェックで建てられてしまうのです。
これが四号特例と呼ばれ、業界でも見直しが検討されている制度です。
提出義務がないだけで、簡略的でも構造の検討自体は必要です。
しかし、提出義務がないあまり、検討自体が不要と勘違いされているケースがあります。
耐震等級1はこういった問題点も含んでいるのです。
耐震等級3とは?
震度7が連続して発生しても耐えた
耐震等級1では不十分ということがご理解いただけたはずです。
では、家族の命と健康、そして日々の暮らしを守るためには、どれだけの耐震等級であれば十分なのでしょうか?
それは最高ランクの「耐震等級3」だと考えます。
耐震等級3は「損傷防止」は、稀に(数十年に一度程度)発生する地震による『1.5倍』の力に対して損傷をしない程度の性能です。
1.5倍というと具体性がないのですが、事実として熊本地震でも耐震等級3で設計された家は16棟中14棟がほぼ無被害(又は軽微な被害)でした。
震度7が連続して発生しても、家は倒壊せずそのまま住み続けることができたのです。
耐震等級3"相当"
単純に壁量を1.5倍にしたものに注意
ご用心していただきたい言葉として、耐震等級3''相当"があります。
耐震等級3はあくまで1.5倍の「地震力」に対して計算するのであって、単純に耐震等級1で必要な壁量を1.5倍にしたものではありません。
耐震等級3の耐震性を確保するには、軽い屋根の場合でも耐震等級1の1.86倍の耐力壁が必要となります。
単純に壁量を1.5倍にしただけでは、耐震等級2に必要な壁量も満たしません。
"相当"ということは、第三者のお墨付きがない状態ですので、計算方法を必ずご確認ください。
ご家族が安心して暮らすためには?
「耐震等級3」がおすすめ
暮らしが今より良くなると考えて建てたマイホーム。
できる限りずっと住みたいと誰もが思うはずです。
ご家族が安心して、暮らし住み続けていくために、命も財産も守ることができる「耐震等級3」をおすすめします。
耐震等級とは、耐震性能を示す指標の1つ
現在において、耐震等級の最高は「3」
耐震等級3の家は、命も財産も守ることができた