ぼくらの家ラボ

構造・性能

2022.12.17

最新の長期優良住宅とは?

「長期優良住宅の認定基準を改正」って聞いたけど、どう変わったのかしら?そもそも、長期優良住宅って何なの?

建築基準法は家を建てるため最低限の基準を定めているにすぎないのだけど、長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅が「長期優良住宅」ニャ。
また、改正により主に「耐震性」と「省エネ性」の基準が高くなったのニャ。

「長期優良住宅」基準の家づくりは、決して義務ではありませんが、国の政策として推し進められてきました。また、2022年には長期優良住宅の認定基準の一部が法改正されるなど基準に関する法改正がありました。

2009年からスタートした長期優良住宅ですが、認定基準は当時のレベルに合わせたものでしたが、今回の改正でその基準がより高くなりました。

そこで今回は、最新の長期優良住宅と認定基準の法改正をなるべく分かりやすく解説したいと思います。

長期優良住宅とは?

国が定めた8つの基準を全てクリアした住宅のこと

長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅です。 長期優良住宅の建築及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けることができます。戸建ては大きく分けて以下のような措置が講じられている住宅を指します。

戸建ての場合は8個の認定基準が設けられています。

長期優良住宅の基準引き上げ

耐震性や断熱性が見直された

2009年に施行された長期優良住宅ですが、認定基準が見直しされて2022年10月に基準が引き上げられました。主に耐震性や断熱性が見直されて、基準がより高くなりました。

変更点は3項目ありますので、次項から説明させていただきます。

耐震等級2でよかったものが…

耐震等級3が必要に

長期優良住宅の壁量基準については、住宅性能表示制度の耐震等級2だったものが、耐震等級3が要件化されました。近年、断熱材や省エネ設備(複層ガラス・太陽光パネルなど)の設置などによる木造建築物が重量化に伴い、安全基準が見直されました。

ただし、住宅性能表示制度における構造計算、いわゆる『許容応力度計算』の場合は、実荷重が考えられているため耐震等級2以上であれば認定基準を満たします。

断熱等性能等級4でよかったものが…

断熱等性能等級5及び一次エネルギー消費量等級6が必要に

省エネルギー性能ですが、住宅性能表示制度の断熱等性能等級4だったものが、ZEH基準である断熱等性能等級5になり、さらに一次エネルギー消費量性能が設定され一次エネルギー消費量等級6が要件化されました。認定を取得するためには、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6の両方を満たす必要があります。

2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、住宅の省エネルギー性能を一層向上させる観点から、認定基準が見直されたのです。

改正前にはなかったが…

災害配慮が新設

近年、頻発する災害を受けて、認定基準に「自然災害による被害の発生の防止または軽減に配慮されたものであること」が追加されました。自然災害による発生の防止又は軽減に配慮されていなければなりません。建設地の土砂災害、津波、洪水などの災害発生リスクの高さに応じて、所管行政庁が定めた措置を講じる必要があります。

長期優良住宅のメリット

様々な優遇措置を受けられる

長期優良住宅の認定を受ける最大のメリットと言えることは、様々な優遇措置があること。具体的には以下の4つになります。

・所得税
・登録免許税
・不動産取得税
・固定資産税

他にも住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して融資する住宅ローンで金利優遇があったり、耐震性が高いことから、地震保険料の割引を受けられたりと、「丈夫で長く住める家」と国のお墨付きがある家は様々なことで優遇措置を受けられます。

長期優良住宅のデメリット

申請手数料や、技術審査料金が必要

長期優良住宅のデメリットに「コストが高くなること」があります。長期優良住宅はいくつかの基準を満たす必要があるため、建築や材料が一般住宅よりも高くつきます。特に改正前の基準をギリギリで満たしていた住宅会社ではコストが高くなりやすく、割高になってしまいます。

また、申請にも費用が必要です。申請手数料や、技術審査料金を含めると30〜40万円ほど別途必要となります。

もともと基準が高ければ

メリットのみ享受できる

ただ、もともと改正後の長期優良住宅の基準を満たしていた住宅会社は、新たに建材や設備の検討をする必要がありません。また、長期優良住宅が標準仕様であれば追加費用がかかることもありませんので、メリットのみ享受できます。

一生に一度の家づくりだからこそ

長期にわたり良好な状態で使用できることが大事

長期優良住宅を取得せずとも、熊本地震後も住み続けることができた「耐震等級3」、健康改善効果があるとされる「断熱等性能等級5」は家族の命と健康を守るための物差しであると考えます。「デザインが良ければ寒くてもいい」「地震で住めなくなってもいい」という人はまずいないはず。長期にわたり良好な状態で使用できる家づくりをぜひ検討してみてください。

  • 長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること

  • 認定基準が見直されて2022年10月に基準が引き上げられた

  • せめて「長期優良住宅」以上の家にお住まいになって欲しい。