ぼくらの家ラボ

土地

2020.10.10

気になる土地の「用途地域」

転勤で関西に引っ越すことになったのね。
もう転勤もないらしいから、この際、家を建てようと思っているの。
それで、色々な土地をネットで見ているのだけど、知らない土地だし、土地勘も全くないからどんな住環境なのか検討もつかないわ。

土地の「用途地域」を調べることである程度の把握はできると思うニャ。
例えば、第一種低層住居専用地域なら戸建てが多く閑静な住宅街が大半だろうし、第二種住居専用地域ならお店が多くて利便性が高いと思うニャ。
絞り方の一つに取り入れてみてはいかがかニャ?

街を歩いていると、「一戸建てばっかりだなぁ」「こっちはマンションが多い」「ここは工場地帯になっているなぁ」などと、思われた方もいらっしゃるでのではないでしょうか?

実は、地域によって建てられる建物の種類や用途は、法律によって定められています。
見方を変えてみると、その土地に行ったことがなくても、住環境の把握をある程度はできるのです。
その、キーワードが『用途地域』です。

そこで、今回は用途地域についてご紹介したいと思います。

「用途地域」とは?

建築できる建物の種類や、用途の制限を定めたルールのこと

いろいろな用途の建物が混在したらごちゃごちゃとしてしまいますよね?
そうならないように、都市計画法というまちづくりの法律に基づいて、国や都道府県によって線引きされています。

その中でも、建築できる建物の種類や、用途の制限を定めたルールのことを『用途地域』といいます。
大きく分けて「住居系」「商業系」「工業系」があるのですが、戸建てを建てるケースが多い「住居系」の用途地域に絞ってご紹介します。

第一種低層住居専用地域

閑静な住環境で過ごしたい人

低層住宅のための地域です。
建てられる高さが10mや12mなどに制限されており、戸建て住宅が主体です。
店舗は床面積の合計が50㎡以下であれば可能ですが、この規模では一般的なコンビニエンスストアは不可のため、日常の買い物が不便に感じる人もいるかもしれません。

駅から少し離れた閑静な住環境なので、都会の喧噪から離れて生活を送りたい人や、クルマを利用する人、広い庭を持ちたい人におすすめです。

第二種低層住居専用地域

閑静な住環境と多少の利便性を求めている人

主に低層住宅のための地域です。
高さの制限は第一種低層住居専用地域と同様ですが、建物の種類は床面積150㎡までの店舗が可能になるため、第一種低層住居専用地域で可能な建物に加え、コンビニエンスストアや飲食店が建てられます。

コンビニなど小さなお店がありつつも、景観としては第一種低層住居専用地域と同様のため、閑静な住環境と多少の利便性を求めている人におすすめです。

第一種中高層住居専用地域

ある程度の利便性を求める人

中高層住宅のための地域です。
建物の高さ制限はありません。建物の種類は2階建て以内かつ床面積が500㎡以下の店舗が建てられるほか、幼稚園や学校などの教育施設、病院、図書館、神社やお寺などが建てられます。

3階建て以上も建てられるので、分譲マンションの戸数も増えます。
ある程度静かな環境で大きな商業施設はないけれど、買い物などの利便性を求める人に向いています。

第二種中高層住居専用地域

生活利便性を求める人

主に中高層住宅のための地域です。
建物の種類は第一種中高層住居専用地域で可能な建物に加えて、2階建て以内かつ床面積1500㎡以下の店舗や事務所が建てられますので、小規模なスーパーなどが増えて街並みがにぎやかになります。

中規模の商業施設があって買い物に便利なため、生活利便性を求める人におすすめです。

第一種住居地域

公共交通機関をよく使う人

住宅の環境を守るための地域です。
住宅以外は第一種・第二種中高層住居専用地域で可能な建物に加えて、3000㎡までの店舗や事務所、ホテルが建てられます。

さらに商業施設が建ち並ぶため、地域がさらににぎやかになります。
比較的駅に近い場合が多く、公共交通機関をよく使う人におすすめです。

第二種住居地域

都会的な暮らしを求める人

主に住宅の環境を守るための地域です。
第一種住居地域で可能な建物に加えて、ボーリング場やスケート場、また床面積10000㎡以下ならパチンコ屋やカラオケボックスなど商業・遊戯施設が建てられます。

第一種住居地域と比べて一層にぎやかになって、遊べるところも増えるので、都会的な暮らを求める人におすすめです。

準住居専用地域

普段からクルマで移動する人

道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。
国道や幹線道路沿いに指定されることが多いので、第二種住居地域で建築可能な建物に加えて、車庫や倉庫、作業場の床面積が150㎡以下の自動車修理工場、客席部分200㎡未満の劇場や映画館などが建築可能になります。

生活利便性はもちろん、国道や幹線道路が近くにあるので、普段からクルマで移動するという人におすすめです。

田園住居専用地域

農業も楽しみたい人

農業の利便性を図りつつ、これと調和する低層住宅のために環境を保護する地域です。
建物の制限的には第一種低層住居専用地域に近いですが、住宅以外にも幼稚園から高校までの教育施設や図書館、病院、神社・寺院などが建てられて、2階建て以下の農産物直売所や農家レストランも建てられます。

既存の農地を使って農業を楽しみたいという人や、農産物直売所や農家レストランを開きたい人におすすめです。

ご家族の理想とする暮らし方を想像する

合う用途地域かどうかで絞ってみる

このように用途地域は景観やにぎやかさ、利便性などに影響します。
まずはご家族の理想とする暮らし方を想像し、それに合う用途地域かどうかで絞ってみるのも一つの方法です。
今はネットで航空地図が見られたりするので、それで何となく雰囲気をつかんで見るのも良いでしょう。

ただ、土地探しを始める前に家を建てたいハウスメーカーを決めておくか、数社に絞っておくことで、「建てたい家が入らなかった」「土地にかけすぎて予算が足りなくなった」「知らない制限があった」ということを防止できるはずですので、ご購入する前にはあらかじめご相談ください。

  • 用途地域は景観やにぎやかさ、利便性などに影響する。

  • 理想とする暮らし方を想像し、それに合う用途地域かどうかで絞るのも一つ。

  • 土地はご購入の前に相談すると失敗しにくい。